福祉関係者と弁護士の連携体制について⑭
~福祉業界における「契約」締結について考える~
板橋俊幸 2015年6月1日 10:02
弁護士板橋です。
今回のテーマを選んだ理由は,福祉の現場における「契約」締結場面に常々疑問と不安を感じていること,及び先日,介護事業所等において研修講師をさせていただいたことによります。
現在の世の中では,高齢者が介護サービスを受けるためには,居宅介護支援事業所,居宅サービス事業所,入所施設等々と契約を締結しなければなりません。
しかし,世の中の多くの方々は,「契約とは何か?」について学ぶ機会がありません。また,介護業界においても,学ぶ機会はほとんど無いようです。
それにも関わらず,介護業界における契約関係書類は沢山あります。
例えば,高齢者が介護保険サービスの利用しようとした場合,要介護認定申請をして,認定結果が出ると,まずは,ケアプランの作成のためケアマネージャーが所属する居宅介護支援事業者と契約を締結する必要があります。
さて,この場面で,契約にかかる書類が複数出てきます。
具体的には,「重要事項説明書」,「契約書」,「個人情報使用同意書」などです。
居宅介護支援事業者の方々は,これらの書類について,以下の点を正しく説明できるでしょうか?
・いつまでに書類内容の説明等が必要になるのか?
・誰と誰の間に(誰から誰に対して)必要な書類なのか?
・誰の署名・押印(記名・押印)が必要なのか?
・利用者家族から署名捺印をもらっておけば問題なし?
・利用者,利用者家族,代理人,署名代筆者,身元引受人,みなから署名・捺印をもらわねばならないか?
・各書類を作成し,署名押印をする意味は何か?
・利用者が認知症等で判断能力が低下している場合どうする?
これらの点に関して,正しく理解をしている 事業者は極めて少ないと感じております。実際の研修においても不十分な理解の方が多数でした。
その為,利用者や利用者家族は,介護事業者(その担当者)より,闇雲に署名押印を迫られ,意味も分からず各種書類に,たくさんの署名押印をしているとの感情を抱くことになります。
もちろん,適切な説明がなされている事業所もありますし,サービスの質自体に問題の無い事業所も沢山あります。
居宅介護支援事業所等と契約をした後には,各種サービス提供事業者(訪問介護,通所介護等々)との契約が待ち受けます。
ここでも,各サービス事業者と利用者等と間で,前述した各種書類を取り交わすことになりますので,同じ問題が生じます。
上記の点は,特に難しいことではありません。しかし,学ぶ機会が無いことから,正確な理解できていないのが現状です。
特に,各種書面おける署名・押印については,残念な状況です。
例えば,「利用者」「ご家族」「ご家族代表者」「代理人」「署名代行者」「身元引受人」「身元保証人」…,様々な方々の署名・押印欄があります。
各書面において,適切な方々へ説明等をし,適切な方々から署名・押印をいただいているでしょうか?
介護事業者において「契約」は,事業者(従業員)・利用者(利用者家族等)の双方にとって大切なものになります。
しかも,サービス提供に際しての入り口における最大の問題点です。
一度しっかりと見直してみることをお勧めいたします。
介護事業に携わる全ての皆様,契約は,事業者,その従業員全てに関わる問題です。
上記問題点に関する研修等に興味をお持ちの方は,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119,担当:板橋)までご連絡ください。
気軽に,楽しく学び,他の事業者より一歩進んでみませんか?
ご連絡お待ちしております。
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/