福祉関係者と弁護士の連携体制について⑪
~虐待案件における連携の必要性~
2014年11月17日 11:11 板橋俊幸
弁護士板橋です。
去る11月9日,群馬県医療ソーシャルワーカー協会児童虐待防止対応委員会主催の研修会に参加して参りました。大変有意義な研修でした。
研修の内容は,『家族支援を考える』~各分野の虐待対応の現状から~というものでした。
各分野で活躍している講師の方々から,虐待の実情,取り組み等の講演があり,その後パネルディスカッションが行われました。
講師の方々は以下のとおりです。
①児童虐待分野:溝口史剛氏(群馬県済生会前橋病院小児科医)
②DV分野:長谷川佐由美氏(被害者支援センターすてっぷぐんま相談員)
③高齢者虐待分野:竹内勇治氏(前橋市地域包括支援センター西部社会福祉士)
④障害者虐待分野:内山恵子氏(障害者権利擁護センター社会福祉士)
最近は,児童虐待や高齢者虐待が刑事事件としてニュースになる機会が増えております。統計的に見ても,虐待案件は増加傾向にあります。
※それぞれ厚労省ホームページより
私は,群馬県高齢者障害者虐待対応専門職チーム(社会福祉士・司法書士・弁護士によるチームです)に参加し,高齢者障害者虐待対応に取り組んでおります。
被虐待者の多くは,自ら声をあげることが困難な状況にあります。しかし,多くの事案では,必ず兆候が見受けられます。
その為,虐待案件に出くわす可能性が高い方々が,日頃から兆候を見つけ出すことが必要となります。
また,兆候が見受けられた場合には,早期の対応が不可欠です。適切な介入の時機を逸してしまうと,解決が困難となり,最悪の事態となってしまいます。
虐待案件に携わる多くの機関・現場の方々が,個々の事例に対し熱心に取り組んでおられます。虐待対応の現場では,様々な問題に直面し,苦慮されております。
最近板橋が携わった事例では,虐待者(夫)・被虐待者(妻)が共依存関係にあり,高齢者虐待防止法に基づいて分離手続を取っても,被虐待者が頑なに虐待者のもとへ帰ろうとし,分離場所の施設関係者が手に負えなくなっている状況が見られました。認知症状があっても,被虐待者が身体的に元気であると,物理的に分離しておくことの難しさに考えさせられてしまいました。
また,警察との協力が必要な案件では,警察との相互連携がうまくいかず,福祉関係者が築き上げた家族との信頼関係が破壊されてしまうこともあり,事後の支援に支障が出る状況も見られました。組織間での理解と協力体制を充実させていくことが今後さらに重要になっていきます。
虐待案件では,多くの場合,虐待を引き起こしてしまう原因・問題が潜んでおります。それらの原因・問題に適切な対応をすることが,真の解決には必要となります。被虐待者のみならず,虐待者に対する適切な支援も必要なのです。
その為,虐待案件への対応は,様々な専門職の協力連携が必要となります。
現在も,様々な連携が模索されておりますが,今回の研修は,各分野(児童・DV・高齢者・障害者)間の連携体制が新たに構築されていく大きな一歩になったと思います。
成年後見業務等で,MSWの方々と協力することがありましたが,今回の研修を受けて,より広く協力関係を築き,問題を抱えた方々に対応していこうと決意しました。
弁護士との連携をお考えの福祉関係者の皆様,是非,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119)へご連絡をください。
相互に協力して問題の解決に取り組みましょう。
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/