福祉関係者と弁護士の連携体制について②
2014年4月 9日 10:33
弁護士板橋です。
福祉関係者と弁護士の連携体制について,具体的事例を紹介します。
1,私が福祉関係者と協力をしながらサポートをしている高齢者がおります。関係者としては,ケアマネージャー,高齢者施設関係者,地域包括支援センター,生活保護担当行政職員,弁護士になります。
2,この方(以下「A」さんとします)は,独り身で地域において生活をされていた方でした。
まず,地域住民の方々から,地域包括支援センターへ相談があり,行政が関わりを持ち始めました。Aさんには医療・介護の必要性がありましたが,関係機関へ繋がっていない状態にありました。地域包括支援センター職員の方々の粘り強い,説得等により,何とか医療機関へ繋げることが出来ました。
Aさんは,体調の関係上入院することになりました。その後,自宅へ帰り独りで生活することは困難であったことから,介護認定を受け,ケアマネージャーへ繋げ,介護施設へ入居し,介護サービスを受けられることになりました。
当時,Aさんは収入が無かったため,施設に入居するには生活保護を受給する必要があり,生活保護担当行政職員が関わることとなりました。そこで問題となったのが,Aさんの借金や各種滞納の発覚でした。
生活保護担当者の柔軟な対応もあり,生活保護の受給がスタートしましたが,やはり借金等の問題を解決しなければなりません。
3,そこで,担当ケアマネージャーから私へ連絡が入り,借金問題の相談に乗ることとなりました。担当ケアマネージャーと私は,半年ほど前に,とある介護関係の集まりで知り合い,繋がりを持っていました。
さて,弁護士としては,Aさんから直接依頼を受ける必要があります。その為,まず,私を含め,関わりを持つメンバー全員がAさんの入所している高齢者施設へ集まり,情報を共有し,今後の方針を検討しました。その後,私がAさんとお会いし,相談を受け,借金の整理の依頼を受けることになりました。
Aさんとお話をしたところ,Aさんは,大変聡明な方で,家族亡き後独りで生活をしていましたが,収入等の関係から生活が苦しくなり,体調を壊されてしまったようです。様々な想いもお聞きした上で,Aさんが納得できる方法で借金問題を処理することとなりました。
現在も,Aさんと私たちの関係は継続しており,借金問題も滞りなく処理手続が進められ,無事に解決する予定です。また,入所中の高齢者施設にも大変気に入っておられる様子でなによりです。
4,さて,Aさんの場合,弁護士費用はどうなるのか疑問をお持ちの方もいると思われます。今回のAさんは,生活保護受給者であることから,法テラス(経済的余裕のない方が利用できる弁護士費用立替等を行ってくれる法務省管轄の公的機関)を利用することで,弁護士費用の負担無く借金問題の解決が出来ます。細かい制度内容については法テラスのホームページをご参照下さい。
5,今回のAさんは,多少認知症の症状がある方でした。今後は,成年後見等の手続が必要となり得ます。Aさんは独り身であることからすると,首長による成年後見申立案件となる可能性が高いと考えられます。私も可能な限り協力をしてく予定でおります。
Aさんに関わる関係者がチームを組んで協力し合うことにより,多数の問題を抱えたAさんは,心配事が減少し,今後は快適な生活が送れることになりました。
いかがでしょうか。高齢者は,自分から積極的に相談に来ることが困難です。高齢者の抱える問題に対応するには,身近で関わるご家族,民生委員,福祉関係者等の方々が,適切な機関・専門家へ繋げることが必要になります。
また,高齢者の抱える問題は,一機関・一専門職のみでは対応しきれません。その為に,高齢者に携わる関係者の方々が協力できる態勢を作ることが必要不可欠になります。
弁護士法人龍馬は,積極的に福祉関係者と協力関係を築いております。
現在高齢者の抱える問題に直面している方はもちろん,今後そのような問題に出くわす可能性がある方々も,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119,担当:弁護士板橋)へご連絡をください。
ぜひとも,協力して高齢者の抱える問題の解決に取り組みましょう。
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/