福祉関係者と弁護士の連携体制について23

2020年8月27日 10:00 板橋俊幸

~群馬県社会福祉協議会主催 令和2年度 法人後見専門員研修会

 

弁護士板橋です。

 

本年も、群馬県社協主催の方紺後見専門員研修会の講師をして参りました。当研修会は、県内の社会福祉協議会や地域の社会福祉法人が、法人として後見業務を行うための職員向けの研修会になります。3日間の研修会の内、私は、1日目(終日):成年後見制度の基礎、2日目(午後):民法の基礎、という講座の講師を担当させていただきました。

 

成年後見制度は、2000年(平成12年)から施行され、今年で20年が経過しております。成年後見制度は、高齢や障害により判断能力が不十分な方を法的にサポートする制度です。認知症や精神・知的障害により判断能力が不十分と思われる方は、統計上は、推計1000万人超だと言われております。他方で、成年後見制度を活用している方は、令和元年末時点で、約22万人強しかおりません(最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」参照)。

 

後見制度についての普及啓発が進んでいないことや、制度が分かりにくいこと、制度についてネガティブな報道がなされていること等々が背景にあるのではないか、と言われております。

そこで、政府は、2016年(平成28年)、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」を制定し、成年後見制度を安心かつ利用しやすい制度へ改善を図ることとしました。現在、全国の自治体、社会福祉協議会、地域の福祉関係者、後見制度に関わる専門職等で、地域における成年後見制度のより良い利用促進が議論されています。

 

研修会で話しましたが、現在の後見制度は、メリット・デメリット両側面があり、判断能力が不十分な方全てに有益であるとは言い難いと考えております。

 

しかし、成年後見制度による支援が必要不可欠である方が多数存在しているのは間違いありません。

皆が最後まで住み慣れた地域で暮らすためには、地域において支える仕組みが必要です。これは、医療や介護に限らず、法的な支援にも当てはまります。

 

そのためには、地域福祉を担う、社会福祉協議会をはじめとした社会福祉法人等が、積極的に成年後見制度を学んでいただき、法人による永続的な後見人活動をしていただくことが重要です。

当弁護士法人としては、成年後見人業務のみならず、適切な後見制度利用が広がるように、普及啓発活動を行っております。また、現在後見人として活動している方々の支援も行っております。

成年後見制度について知りたい・学びたい、相談したい方は、当弁護士法人へご連絡ください。