原点回帰~インタビューを通じて
2012年9月 7日 11:32
弁護士おこのぎです。
8月中旬に某大学の学生からインタビューを受けました。
自身の弁護士としての道のりを振り返り,自身の「要」を再確認できました。
以下,インタビューの内容を掲載します。
Q1.なぜ、弁護士になろうと思われたのですか?
A1. 高校生の時、弁護士に関する本を読んだことがきっかけでした。現代社会で生きていくにあたって、自分の身を守る盾として、法律を駆使する法曹になりたいと思ったのです。司法試験合格後は迷わず弁護士を選択しましたが、弁護士として10年ほど勤務した後、2年間非常勤裁判官という形で裁判官に近い仕事も、同時に務めました。
やはり、無事事件を解決する事ができて依頼者に感謝されたときはとても嬉しいですし、依頼者の人生の岐路に一緒に立ち会わせて頂いているので、ひとつひとつの事件にやりがいを感じます。
Q2.今までどのようなお仕事をされてきましたか?
また、現在どのような仕事をされていますか?
A2. 消費者問題や住宅問題という専門分野と、相続・離婚などの一般的分野を業務としてきました。現在は、それらに加えて、高齢者問題全般を主に取り扱っています。
もちろんどんな案件でもお受けしますが、弁護士として、なにか自分の特徴となる部分を極めたい、「群馬県の中でこの分野は自分がナンバーワンだ」と言える強みを持ちたいとも思っており、高齢者問題には特に積極的に取り組んでいます。
Q3.印象に残っている案件は何ですか。
A3. ココ山岡事件という、大規模な消費者被害事件で群馬弁護団の事務局長を務めさせて頂いたことが印象に残っています。この事件では、全国の弁護士の先生方と協力しながら進めなければならなかったので、自分ひとりで事件に向かっているときとは違い、他の先生方の様々な考え方を知る事ができました。若いうちに、このような大役を務め、多くの事を勉強させて頂けたことは、本当にいい経験だったと思います。
この経験があったからこそ、現在の事務所でも、集団訴訟に主力として関われるという自信とノウハウを身につけることができたと思います。
Q4.弁護士として依頼者の方と接する上で意識していることは、何ですか。
A4. 法律を知りたいなら、六法を見ればわかります。法律に当てはめただけで事件が解決するのなら、コンピュータでもできます。間違いばかりする人間が、わざわざ法律を拠り所とし、運用するのは、決して定型的に事件を当てはめるだけでは解決できないからです。事件の解決には、杓子定規でない、人間的解決という面からの観点も必要なのです。
弁護士は、依頼者を救済するために法律を活用します。弁護士とは、ただ法律を知っている知識人ではなく、人があるべき姿を取り戻す回答を導き出す弁護をする人であるということを忘れてはいけません。
また、具体的には、依頼者の話にきちんと耳を傾けることを心がけています。弁護士は往々にして忙しさにかまけ、弁護士に必要な要件事実のみ、依頼者から聞き出そうとしてしまいますが、これではいけません。相談時間というのは、依頼者が聞いてほしいと思われることを真剣に聞くための時間です。依頼者のための、貴重な時間であり、弁護士のための時間ではありません。依頼者と信頼関係を築き、相手方と渡り合うことができ、その上で社会性と柔軟性を持つ弁護士こそが、「専門家」といえます。だからこそ、常に、社会を見る目、人を見る目、事件を見る目を養うことを意識していたいと思っています。
Q5.弁護士として関心のある分野は何ですか。
A5.依頼者の方から高齢者に関する相談をお受けすることが増えたこと、また、私自身が母の介護をするようになったことで、高齢者問題に強い関心を持つようになりました。現在は、高齢者問題解決の要となる事務所になろうという目標を掲げて、様々な取り組みを行っています。
高齢者問題は、群馬県においてはまだ専門的に扱っている弁護士が少ない分野ですが、団塊の世代がお歳を召してこられたということもあって、今、正に日本社会に突きつけられている大きな問題のひとつです。
「高齢者問題」と一言で言っても、高齢者本人の問題だけではなく、医療関係者、介護関係者、家族など、様々な方が関わっています。なので、任意後見・遺言・相続・遺産分割といった主な分野に留まらず、高齢者の消費者被害・虐待・離婚・リバースモーゲージ・遺言信託・事業承継などの多様な法律問題を抱えています。また、介護・高齢者医療制度という社会的問題の解決とともに、終末期医療における事前指示書も普及が必要だと感じています。
現代では、医療が発達した分、生と死の間の時期が長くなり、その境目も曖昧になりました。相続問題のような「亡くなった後」の分野は従来から弁護士の主な分野として確立していましたが、現代ではその前の段階、つまり、判断能力が失われてから亡くなるまでの期間に、正しく「生き方」「逝き方」を選択するための法的整備が必要とされているのです。
このような現代の高齢者問題の解決のために、私は弁護士法人龍馬を設立しました。先ほどお話したように、高齢者問題には本人以外の多くの人が関わり、様々な分野からの観点が必要となります。そこで、弁護士法人龍馬では、高齢者問題を専門に取り扱う弁護士のみならず、成年後見に取り組む社会福祉士や司法書士の方々、認知症を専門とする高齢者医療関係者並びに同施設関係者の方々、相続・事業承継に精通する公認会計士、税理士の方々との連携がとれるネットワークを作り、そのつながりの要となる事務所を目指しています。
異業種の方との関わりを持つことは、私自身にとっても本当に勉強になりますし、なにより、自分の知らない分野の方のお話をお聞きできるのはとてもおもしろいです。
Q6. 法曹界を目指している方に向けてのアドバイス等をお願いします。
A6. 是非、法律に書いてあることだけで事件を解決するような弁護士にはならないでほしいと思います。法律の基礎知識を身につける為に、法学の勉強や司法試験はもちろん必要です。しかし、実務において、事件が進展して行くのは法律の適用外の場面が多く,人間の本質的な部分に迫らなければならない事がたくさんあります。
法知識を活用しつつ、かといってそればかりではなく法知識以外の部分からも解決を導くことができるように、いろいろな人に会ったり、本を読んだりすることを意識してください。基礎知識にプラスアルファとして自分の経験や感性を身につけ、是非、人間の弱いところを理解できる弁護士になってほしいと思います。