福祉関係者と弁護士の連携体制について24
2020年11月2日 10:00 板橋俊幸
~あすまミーティングに参加して~
弁護士板橋です。
先日、伊勢崎市地域包括支援センター東が主催する「多職種協学事例検討会・あずまミーティング」において、「認知症や障害のある人の暮らしの支援」と題して、成年後見制度に関する講師をさせていただきました。Zoom使用と会場でのハイブリッド仕様で、コロナ禍の研修会の新たな形を感じました。
今回の「あずまミーティング」での講師は、私のブログ「福祉関係者と弁護士の連携体制について22」にある、群馬県地域包括・在宅介護支援センター協議会「多職種で学ぶ、実践事例検討会」に参加していた包括の職員の方からのご依頼でした。
当該包括職員は、地域の高齢者や障害者の抱える問題が多問題化・複雑化しており、ケアマネージャーや民生委員の方々が法的知識を付けることにより、日頃の対応に役立てていただくことを目的としておりました。そのため、参加者の皆様は非常に熱心に聴講してくださいました。ありがとうございました。
さて、現場のケアマネージャーの方々が抱えている問題の一つに、身寄りのない方の入院等支援に際して、入院時や手術時に、ケアマネージャーの方々が病院から「緊急連絡先」「身元引受人」「同意人」等の書面にサインを求められるということがあります。
本来は、これまで、親族が担ってきた役割を、ケアマネージャーの方々が負わされているという問題です。そもそも、ケアマネージャーの方々には、上記の書面にサインする義務はありません。
他方で、病院においては、いざというときの際に、対応してもらえる人を探しておく必要があります。
身寄りのない方が増加する中で、現場ではギリギリの対応を迫られている現状があります。そこで、厚労省では、『身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン』を発表しております(下記添付)。おそらく、現場には全く浸透しておりません。
現状、現場の声を聴くと、身寄りがなく判断能力低下がみられる高齢者等について、身元引受を業務として掲げるNPOなどに丸投げしていることもあるようです。そもそも、当該判断能力の低下がある高齢者の場合、NPOと契約を締結することは困難です。
どのような支援をしてもらえるのか、内容を理解できずに契約を締結することはあり得ません。また、NPO等は監督官庁がありません。適切な対応をしているNPO等もありますが、医療機関・行政は適切な理解をしていただきたいと思います。
さて、そうはいっても、身寄りのない方への対応は待ったなしです。行政を中心として、医療・介護の現場の方々が共通の理解を持って、地域の体制整備をしていく必要があります。
弁護士法人龍馬としては、関係機関との連携を図り、地域の体制整備に協力していくことを業務の一つとしております。今後も、研修会などを通じて、問題点を発信・共有し、一つずつ問題解決に注力して参ります。
※『身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン』
https://www.mhlw.go.jp/content/000516181.pdf